音楽メモランダム
目 次
2009年掲載
コンサート情報の記載方法について (November 29, 2009)
ネットワーク社会と著作権 (October 8, 2009)
ゲネプロの無料公開 (August 8, 2009)
3万5千年前のフルート (June 25, 2009)
ベルリン・フィルの中の日本人 (June 19, 2009)
キム・スヨン来日キャンセルの理由 (May 2, 2009)
プロオケの経営 (April 25, 2009)
クヮルテットのたのしみ (April 14, 2009)
著作権管理事業の自由化 (March 8, 2009)
音楽祭の新しい形 (February 7, 2009)
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009- (January 18, 2009)
再評価された作曲家ヘルマン・ゲッツ (January 11, 2009)
音楽専攻学生のための無料シート (January 1, 2009)
過去の掲載
2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年
コンサート情報の記載方法について (November 29, 2009)
ネットワーク社会と著作権 (October 8, 2009)
ゲネプロの無料公開 (August 8, 2009)
3万5千年前のフルート (June 25, 2009)
ベルリン・フィルの中の日本人 (June 19, 2009)
キム・スヨン来日キャンセルの理由 (May 2, 2009)
プロオケの経営 (April 25, 2009)
クヮルテットのたのしみ (April 14, 2009)
著作権管理事業の自由化 (March 8, 2009)
音楽祭の新しい形 (February 7, 2009)
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009- (January 18, 2009)
再評価された作曲家ヘルマン・ゲッツ (January 11, 2009)
音楽専攻学生のための無料シート (January 1, 2009)
過去の掲載
2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年
コンサート情報の記載方法について (November 29, 2009)
- 1998年のWMCウェブサイト開設当初から、入場料が2000円以下のコンサート情報を掲載し続けています。
- その趣旨の第1は、クラシック音楽になじみの少ない人にも気軽にコンサートを楽しんでもらいたいこと、第2は、高額な入場料のコンサートの場合と異なり、低料金の場合にはその宣伝広告にまわせる金額も少ないことが多いので、主催者や出演者の方のためにも、1人でも多くの聴衆を集めることに寄与したいということでした。
- このサイトを見て、掲載当初から、寄せられるご意見のひとつは、無料のコンサートに行く人は、層が限られていて、有料のコンサートにはいかないので、演奏者から見ればありがたくないという意見で、このようなご意見は、入場料の多寡は出演者の良し悪しの基準にもとられかねないので、やめてほしいというご意見とともに、演奏者の方々から比較的多く寄せられました。(近年は、このようなご意見は寄せられていません。)
- もうひとつのご意見は、入場料金別のリストなど希望のコンサートが探しにくくて困るというご意見で、これは、当初から現在まで継続的に寄せられています。
このようなご意見の方は、入場料が2000円以下なら十分安いので、入場料の違いによってそのコンサートにいくかどうかの判断はしないという方ですが、100円なら行くが1000円なら行かないという人もおられるので、今のままにしています。 - 一時、読者の好みに応じて自由に検索できるようにすることも考えましたが、どのような検索スタイルが良いのかについて結論がでず、一般の検索エンジンによるサイト内検索機能をつけることにとどめています。
- 皆様の忌憚のないご意見をいただければ、このサイトの改善につなげたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
- ご意見は、メール(wellpine@246.ne.jp)でお寄せください。
その際、標題には、WMCあるいはコンサートというキーワードを必ず記入してください。
第12回東京音楽コンクール (August 1, 2014)
- 本サイトのコンサート情報欄には、以前、コンクールもコンサート情報として取り上げておりましたが、現在は止めております。
- その主な理由は、入場料も安いのでちょっと聴いてみようかと入った人が、また聴きに行く気持ちになれるケースが少ないことでした。
- そんなことを言えば、WMCのコンサート情報欄に掲載されている演奏会は、全てそうではないと言えるのかと反撃されそうですが、一般のコンサート情報の場合は、自薦他薦を含め、そのコンサートを聴いて欲しいと知らせてくださる方がおられ、それが偽情報でないことを確認できさえすれば掲載しております。
- これがコンクールの場合には、出場者とその関係者があまりにも多く、ほぼすべてのコンクールについて掲載するようなことになりかねません。
- コンクールにもいろいろあって、お稽古の発表会のようなものから、プロ顔負けの演奏をする出場者が集まるものまであります。この後者の例の一つが表題に挙げました東京音楽コンクールです。
- このコンクールの本選は、8月22日金管部門、8月23日弦楽部門、8月24日声楽部門、8月26日ピアノ部門が開催されます。コンクールの主催者のなかには、東京文化会館も入っていますが、東京文化会館は現在改修工事のため休館中ですので、東京芸術劇場コンサートホールで開催されます。
- 入場料も2000円なので、WMCのコンサート情報欄に掲載したいところですが・・・
ネットワーク社会と著作権 (October 8, 2009)
- 最近では音楽のダウンロード数が日常の話題になりましたが、WMCがネットワークによる音楽の流通について問題にしていたころは、音楽流通事業者たちが著作権を持ち出して音楽のネットワークによる流通に大反対をしていました。
- このサイトでも2003年2月にデジタル社会の新音楽ビジネスモデルと題してこの問題を取り上げました。
- この問題のキーファクターの一つである、ファイル交換ソフトの合法性についても、2003年5月にファイル交換ソフトは合法と題する文を掲載しました。
- にもかかわらず、日本で開発された優秀なファイル交換ソフトの一つであるWinnyの開発者が2004年に逮捕されました。この件につきましては、報道機関の報道姿勢にも問題があることを指摘しました。
- Winnyの開発者は、京都地裁で著作権侵害幇助として罰金刑の判決を受けました。WMCとしては、ファイル交換ソフトの開発者が著作権侵害幇助になるなら、包丁や鉄砲の製造業者は、殺人幇助にもなりかねないのではないかと常々批判してきました。
- ここにきて、今回の大阪高裁によるWinnyの開発者に対する逆転無罪判決は、まさにわが意を得たりと言いたいものです。
- 音楽の場合、作曲者や演奏者などの「真」の著作権者の権利を守ることは非常に重要です。音楽の流通事業も音楽の普及のためには重要な事業ではありますが、流通事業者の利益を守ることは著作権の保護とは全く別次元の話です。これを混同して裁判を長引かせているのは、報道機関の報道姿勢の問題でもあります。
- 音楽の流通事業者や報道機関は、今回の判決を真摯に受け止め、上告するような方向に持っていかないことを望みます。
ゲネプロの無料公開 (August 8, 2009)
- 本来数万円のオペラやコンサートの最終稽古、いわゆるゲネプロが無料で公開される場合があります。
- びわ湖ホールや兵庫県立芸術文化センターなどでは、ホール会員向けのサービスとして行われていますので、一般の方には無縁な催しですが、東京文化会館では青少年のための舞台芸術体験プログラムの一行事として企画されています。
- このプログラムは、名称通り、青少年が対象ですので、年齢は25歳が上限とされていますが、音楽の専門教育を受けている高校生、専門学校生、大学生に限らず、関心と希望があれば、誰でも応募できます。開催スケジュールなど詳細は、下記の関連ページをご覧ください。
- また、同様の趣旨で、サントリーホールでも、ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2009の一環として、16歳以上25歳以下を対象に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のリハーサルを無料で公開されます。
- 高額な入場料を支払う能力がなくとも音楽に関心を持つ若者を育てようというこれらのホールの趣旨に賛同して、他のホールも同様の催しを企画してもらいたいものです。
3万5千年前のフルート (June 25, 2009)
- 2009年6月24日に、ドイツのチュービンゲン大学が3万5千年以上前に作られたフルートを発見したと報じました。ドイツ南西部にあるホーレ・フェルス洞窟からほぼ完全な形でハゲワシの骨でできたフルートが出土し、マンモスの牙でできたフルートの破片も発見されました。
- ハゲワシの骨でできたフルートは、長さ21.8センチ、直径約8ミリで、五つの指穴があいてます。ということは、すでにこのころの人々は、音階のある音楽を楽しんでいたのでしょう。大学の発表文(ドイツ語)では“Flöte”、ネーチャー誌(英語)では“Flute”と書かれていますが、これは、現在のフルートのように横笛ではなく、尺八のような縦笛のようです。
- このフルートには、指穴をあけるための見当をつけたと思われる筋が入っていたそうで、正確な音程という概念も既にできていたのだろうと思われます。
- ホーレ・フェルス洞窟では同じチームが本年5月に、人類最古のマンモスの牙でできたビーナス像の発見をしたと報告されていました。この地方の洞窟では、1973年から2005年にかけて、フルートとみられる複数の破片が発掘されていたそうです。
- 絵や文字による記録が残る前の古代の様子は、人骨や建物のように形のあるものから推定するしかないと思われます。音楽のように、形で残らないものは、楽器から想像するしかないのでしょうが、これまで発見された古代の楽器は、打楽器類が多く、笛であったろうといわれているものも指穴がない原始的なものが多かったと思います。
ベルリン・フィルの中の日本人 (June 19, 2009)
- 現地時間6月18日に、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、樫本大進さんを第1コンサートマスターにすることを内定したと発表しました。
- 樫本大進さんの演奏家としての技量は高く評価できると思いますが、問題は、コンサート・マスターとしてやっていけるかということでしょう。最終的には楽団員の投票でコンサート・マスターとなれるかどうかが決まるわけで、これがうまくいかなければ、彼の演奏家としての世間の見る目が厳しくなりそうで心配です。
- ところで、ベルリン・フィルの団員として日本人が入団したのは、ヴィオラ奏者の土屋邦雄さんが初めてで、1959年から2001年まで加入されていました。安永徹さんが日本人としては初めての第1コンサートマスターを今年3月まで務めておられたことは有名です。
- 現在の団員リストをみますと、第1ヴァイオリンでは、第1コンサートマスターが、Guy Braunstein と Daniel Stabrawa の2人で、コンサートマスターが、Rainer Sonne となっており、日本人では、21人在籍する第1ヴァイオリン奏者中19番目に町田琴和さんが位置しています。
- 第2ヴァイオリンには日本人奏者が存在せず、ヴィオラの首席奏者に清水直子さんがおられます。ヴィオラの首席奏者は3人で、清水直子さんの上位に、第1首席奏者の Neithard Resa がいます。他には日本人はいません。以前トロンボーン奏者の神谷敏さんが契約団員として在籍していたそうです。
- 団員とは別に、団付き(レジデント)ピアニストとして、内田光子さんがおられます。内田光子さんは、イギリス政府から男性のナイトに相当する「デイム」の称号が授与されることが決まったと発表されたばかりなので、記憶に新しいでしょう。
キム・スヨン来日キャンセルの理由 (May 2, 2009)
- 今年7月に来日し、各地でコンサートを開くことになっていましたキム・スヨンが来日を取りやめました。
- 3月18日の兵庫県立芸術文化センターの発表では、『2009年7月12日開催予定の「キム・スヨン ヴァイオリン・リサイタル」の公演は、都合により急遽公演中止となりました。』としか明らかにされていませんでした。また、代替公演の予定はないと通知されていました。
- ところが、武蔵野市民文化会館によりますと7月11日に武蔵野市民文化会館小ホールで開催する予定のキム・スヨンが来日できなくなったので、急遽、レイチェル・バートン・パインを招聘するとし、販売済みチケットは、同日同時刻の同席番で、そのまま有効となると案内されました。もちろん、キャンセルもできます。
- ここでは、このような主催者による対応の違いを云々するのではなく、キム・スヨンが来日しなかった理由について取り上げてみたいと思います。
- キム・スヨン側の理由は、招聘元である(株)日本交響楽協会が倒産したので来日をあきらめ、ミュンヘン国立音楽大学のオーケストラ・クラスに申し込みをしたからとのことですが、武蔵野市民文化会館によりますとチケットも完売しているので、(株)日本交響楽協会に替わって武蔵野市民文化会館が招聘すると提案したが、受け入れられなかったとのことです。
- 来日キャンセルの理由としては、演奏者の体調不良が最も多いのではないかと思います。近親者が死亡したからという理由もありました。しかしながら、今回のような招聘元の倒産をきっかけとしたダブルブッキングまがいのキャンセルは珍しいと思います。
プロオケの経営 (April 25, 2009)
- ここでいうプロオケとはプロのオーケストラのことですが、プロオケにとって、入場料収入やCDの販売料、テレビ出演料のような演奏に対する直接の対価のみで経営を続けることは不可能と言っても過言ではないでしょう。
- ヨーロッパ大陸では自治体がその経営を支え、英国や米国では民間の財力によって支えられています。
- 日本では、京都市交響楽団のように自治体直営のオーケストラとして創立されたところや、大阪センチュリー交響楽団のように大阪府からの補助金によって経営を支えられているところから、東京交響楽団のように民間企業の支援が活動の支えになっているところなど、様々です。
- そのほかのプロオケも、自治体からの支援や民間企業からの支援を、比重は異なっても、受けながら経営を続けています。
- このところ、大阪府の財務状況改善の一環として、大阪センチュリー交響楽団は補助金の大幅カットという苦しい状況に陥ってきているようです。また、京都市交響楽団も財団法人化が決定しました。
- 一般に、自治体の財務状況も、民間企業の業績も思わしくなくなってきているので、そのほかのプロオケも他人事ではなくなるかもしれません。
- ただ一人安泰なのは、NHK交響楽団で、景気変動に強い視聴料収入を持つ日本放送協会(NHK)の全面的な支援に頼っている限り、悠々としたものでしょう。
- プロオケのの活動は、芸術・文化活動だとは言っても経済活動でもあるわけなので、景気変動などの世の中の経済状況に経営が左右されることは、一般の企業と同じだと思った方が良いのではないでしょうか?
- そのためには、演奏者の方はともかく、経営陣の方々には、通常の企業並みに経営努力をしていただきたいと思います。
- その一つの例として、コンサート情報の公知について取り上げますと、そのプロオケ自体が主催するコンサートに関する情報は自身のウェブサイトなどを通じて広報しているにもかかわらず、主催者が自身ではない情報の広報は全くしないプロオケが散見されます。
- 一方、札幌交響楽団のように、地方の町・村や企業が主催するコンサートまで、すべての情報を、そのウェブサイトに掲載して、一人でも多くの聴衆に来てもらう努力をしているプロオケもあります。
- 大阪センチュリー交響楽団についていえば、楽員総数48名(2009.4.1 現在)という少人数であるにもかかわらず、ベルリオーズの幻想交響曲のような大編成の曲を大勢のエキストラを雇って演奏するなど、経営的見地から見ればいかがなものかと思われるところがあります。
- 音楽ファンとしては、今回の不況によってプロオケの経営姿勢が良い方向に改まることを期待したいところです。
関連サイト:
社団法人日本オーケストラ連盟のホームページ
社団法人日本オーケストラ連盟のホームページ
クヮルテットのたのしみ (April 14, 2009)
- 関西フィルハーモニー管弦楽団がまだヴィエール・フィルハーモニックであった1981年に、コンサートマスターの松永みどりさんを中心とした主席奏者4人で結成された弦楽四重奏団が、以来28年間「松永みどり弦楽四重奏団」として演奏活動を続けてこられました。
- 「クヮルテットのたのしみ」と名付けられた定期演奏会が、大阪駅前第2ビル5階にある大阪市立総合生涯学習センターのサロンで年6回開催されています。
- 今年に入ってからも既に1月と3月に「クヮルテットのたのしみ」が開催されていますが、次の5月開催を最後に活動を終えることになったそうです。
- 「クヮルテットのたのしみ」は5月の公演でちょうど150回目となります。入場料が2000円なので、WMCの無料・激安コンサート情報にも常に掲載してきましたが、これが最後の掲載ということになります。
- 室内楽はオーケストラに比べ地味で、あまり人気が盛り上がらないようですが、本来のクラシック音楽の原点の一つがサロン・コンサートの形態であったわけで、大人数の聴衆を集めるのではなく、少人数で楽しむにはちょうど良い形態のように思います。
- しかしながら、聴衆が少ないということは、演奏者の収入も少なく、プロの演奏家としては、あまりおいしくはないのかもしれません。
- クヮルテットのたのしみ No.150 (最終回)
日時:2009年 5月15日(金) 19:00開演
場所:大阪市立総合生涯学習センター
出演: 松永みどり、本多智子(ヴァイオリン) 杉山雄一(ヴィオラ) 白石将(チェロ)
曲目:ブラームス/弦楽四重奏曲第3番
アリアーガ/弦楽四重奏曲第3番
入場料:2000円
問合せ:大阪アーティスト協会(06-6135-0503)
関連サイト:
大阪アーティスト協会のホームページ
大阪アーティスト協会のホームページ
著作権管理事業の自由化 (March 8, 2009)
- 先月(2009年2月)、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に対して立ち入り検査を行いました。
- JASRACが日本の音楽著作権事業を寡占していることは大問題ですが、今回公正取引委員会がJASRACにどのような要求をされたのかよくはわかりません。もし、放送事業者とJASRACが結んでいる包括的利用許諾契約の解約を求めたとすれば、見当違いではないかと思います。それなら、JASRACだけではなく放送事業者にも圧力をかけるべきだというのがWMCの見解です。
- 音楽著作権管理業務は、2001年の新法施行によって「自由競争」の時代に突入したはずですが、実態は、JASRACの寡占が続いています。放送事業者にとって利便性が高いJASRACとの包括許諾契約には、JASRACの寡占を促進させる効果があることは否めません。
- 一方、独占禁止法とは別に、この契約形態で問題になっていることは、著作者に正しい配分が行われていないということです。しかしこれは、放送事業者がJASRACに正しい報告をしないからであって、JASRACよりも、放送事業者に問題があると思います。
- そこで一つの案ですが、放送事業者などの利用者と包括許諾契約をするのは著作権管理事業者とは別の第三者にするというのはどうでしょう。この第三者には、JASRACのみならず、イーライセンスなど他の音楽著作権管理事業者も差別なく扱うことを義務付けるようにしなければなりません。
- そうすれば、放送事業者やネット配信事業者などの利用者は、便利な包括許諾契約が利用でき、放送事業者などが今のようにJASRAC以外の著作権管理事業者が管理している曲は別料金になるから使わないということはなくなると思います。(参考:関連サイトの著作権料を集中処理・・・新組織)
- 著作物を集中管理することと独占禁止法を遵守することとは両立できると思います。しかし、著作権管理事業者ではなく、放送事業者などの利用者が複数の著作権管理事業者を統合した包括許諾料徴収契約をすれば良いわけで、公正取引の観点からは、JASRACには放送事業者などとJASRAC単独の包括的利用許諾契約ではなく、他事業者と共同で契約するよう働きかけるとともに、放送事業者などの利用者にもJASRAC単独で包括的利用許諾契約はしないよう圧力をかけるべきではないかと思います。
音楽祭の新しい形 (February 7, 2009)
- クラシック音楽のコンサートも最近様子が変わってきました。形式ばらないカジュアルなスタイルの演奏会が増えたこともその一つです。
- 以前は、開演と共に拍手に迎えられながら演奏者が現れ、黙ってお辞儀をして1曲演奏し、また黙ってお辞儀をして拍手に送られながら舞台のそでに去っていく、ということが曲の数だけ繰り返されて終わるというスタイルが一般的でした。
- 演奏者が聴衆に話しかけるのは、アンコール曲の紹介をする時に限られるというスタイルです。もちろんサロンコンサートなどのように別のスタイルもあります。
- 演奏曲も、たとえばオーケストラの場合、最初に序曲のような比較的短い曲が演奏され、そのあとに協奏曲、交響曲と大曲が演奏されるというようなプログラムが一般的です。その結果、休息を挟んで開演から終演まで、2時間程度かかることが普通でしょう。
- 音楽祭もつまるところ、このようなコンサートをあるテーマのもとに複数集め、何日かかけて開催されるスタイルが一般的でした。ところが、近年、新しいスタイルの音楽祭が出てきました。
- 端緒は、1995年にフランスの港町ナントで生まれた「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」で、これが、2000年にはポルトガル・リスボン、2002年からはスペイン・ビルバオでも開催され、2005年には、日本でも始められました。
- CDにたとえますと、これまでのスタイルが、アルバムで、新しいスタイルは、シングルとでも言えるのではないでしょうか。基本的に1公演1作品と短時間の公演を数多く用意するスタイルです。
- 東京で開催が始まった「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の1年後には、宮城県で「せんくら」の愛称で呼ばれる「仙台クラシックフェスティバル」が開始されました。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の方も昨年から、東京都に加え石川県で、「ラ・フォル・ジュルネ金沢」の開催が始まりました。
- 「ラ・フォル・ジュルネ」のように複数会場で同時に別の公演が開催されるような大規模な音楽祭ではなくとも、短時間の公演を数多く用意するという音楽祭も出てきました。
- 来月、千葉で開催される「幕張美浜音楽祭」はまさにそのような音楽祭です。「ラ・フォル・ジュルネ」とはコンセプトも同じではないようですが、新しいスタイルの音楽祭と言えそうです。特に、短時間の公演を数多く用意するところは同じです。
- 音楽祭に限らず、新しい試みの演奏会が提案され、それがクラシック音楽の活性化につながるなら、喜ばしいことではないかと思います。
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009- (January 18, 2009)
- 2005年から開催されてきた「東京のオペラの森」が、2009年春の公演より、「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009-」と改称されました。
- 今年も、春の上野公園を中心とした様々な文化施設で1ヶ月間にわたり、約30公演が開催されます。
- 皮切りは、3月12日(木) 19:00 国立科学博物館日本館講堂でのトリオ・プラスによるピアノ三重奏の夕べです。トリオ・プラスは、ジュリアード音楽院で共に学んだ若手3人によるピアノ・トリオで、メンデルスゾーンの大作と、シューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番などを演奏する予定です。
- 最後は、N響の第1コンサートマスター篠崎史紀と彼の音楽仲間によるヴィヴァルディの「四季」と、日本の四季を唄った童謡を早川正昭がバロック風にアレンジした「日本の四季」などで締めくくられます。
- この間、無料のコンサートも1000円、2000円のコンサートもあります。チケット発売開始は、2009年1月25日(日)10:00からで、音楽祭実行委員会が開くオンライン・チケットサービスのほか、電子チケットぴあ、e+(イープラス)ローソンチケットなどで取り扱われます。
関連サイト:
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009-
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2009-
再評価された作曲家ヘルマン・ゲッツ (January 11, 2009)
- 作曲家に限らず、創作活動に携わる人々に関する一般的な評価は、以前にほかの人がやらなかった新しい表現方法を開拓した人に与えられるようです。
- その観点からみますと、ヘルマン・ゲッツは、メンデルスゾーンやシューマンの流れを汲む穏健なロマン主義の作曲家であったためか、忘れられた存在でした。
- ヘルマン・ゲッツは、1840年12月7日生まれ1876年12月3日に結核のために夭折した作曲家です。彼が活動したころは、フランツ・リストやリヒャルト・ワーグナーなどの新ドイツ楽派に人気が集まり、伝統的な音楽観のもとに作曲活動を続けたゲッツは目立つ存在ではなかったようです。
- しかしながら、グスタフ・マーラーのようにゲッツの作品を高く評価していた人もいたようです。
- この10数年の間に、ゲッツ作品の重要性が見直され、演奏もされるようになってきました。NAXOS からもいくつかCDが発売されています。
- ゲッツは、管弦楽曲や器楽曲のほかオペラも2作品残しています。そのうち1作品は未完成のままになりましたが、他の1作品は、シェイクスピア原作の「じゃじゃ馬ならし」で、NAXOS のCDのなかにも収録されています。次の土・日(1月17日と18日)には、新国立劇場で、日本初演されます。
- ヘルマン・ゲッツとその作品に関しては、ウィキペディアにも掲載されていますので興味のある方はご覧ください。
音楽専攻学生のための無料シート (January 1, 2009)
- 東京都交響楽団では、プロの音楽家をめざして専門的に勉強中の学生を対象に、定期演奏会Aシリーズの無料鑑賞者を毎回ウェブサイトで募集しています。
- この制度は、東京都交響楽団の永久名誉指揮者ジャン・フルネの現役引退にあたり、2005年12月のラストコンサート終演後のステージにおいて、マエストロご夫妻に定期演奏会Aシリーズの永久会員券を贈呈したことから始まりました。
- マエストロ自身が出席できない際にその席を未来の音楽家のために役立ててほしいというご本人の意思で「マエストロ=フルネ・シート」として募集されることになり、マエストロの逝去(2008年11月3日)後も、楽団ではフルネ氏の遺志を尊重し、継続して実施されているものです。
- 募集人数は毎回2名で、対象者は、現在音楽の専門教育を受けながら、プロの音楽家をめざして研鑽を積んでいる高校生以上の学生なら国籍は問われていません。
- 次回の東京都交響楽団定期演奏会Aシリーズは2009年1月22日(木)19時、東京文化会館で開催される第674回定期演奏会で、この「マエストロ=フルネ・シート」は、2009年1月13日(月)の締め切りで募集されています。
関連サイト:
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