音楽メモランダム (2002年掲載分)
目 次
小澤征爾さんが叙勲されたことはニュースではないのか? (Dec. 4, 2002)
- 小澤征爾さんがオーストリアの「勲一等十字勲章」を授けられたことに関しまして、日本のメディアではどのように報道されているのでしょうか?
- 私の知る範囲では、日経新聞などの一般紙では報道されましたが、音楽之友社 OnLine の「クラシック音楽早耳情報」をはじめ、主だった音楽ニュースサイトでは(12月4日朝時点)報道されていない様に思います。
- 私は、これは大ニュースだと思って、12月3日の朝にメーリングリストに投稿しましたが、メジャーなメディアが取り上げないということは、たいしたニュースではないということなのでしょうか。
未就学児入場可能 (Aug. 27, 2002)
- 先日、個人の責任と題して、「未就学児の入場お断り」と書かれているコンサート案内に触れましたが、頂いたメールを見ますと私が未就学児の入場を断るべきではないと主張しているように取られた方がおられました。
- あの文で私が言いたかったことは、未就学児に限らず公共の場で他人に迷惑をかけるような行為をなくするためには、親や周りの人たちがそのような行為をさせないように努力したいと言いたかったのです。
- また、小さい子供は、集中力を長時間保つことが難しいので、それが必要な場には、子供を連れて行かないのは親の責任で、コンサートの主催者の責任ではないのではないかとも言いたかったのです。
- そのような目でコンサート情報を見ていますと「コンサートで就学前のお子様の入場を制限しておりません。」と記載されたサイトがありました。この詳細につきましては、下記、グローバル・フィルハーモニック・オーケストラのページを直接見てください。
- 逆に、音楽を子供たちに親しんでもらうという企画があっても良いのでは、と思ってはおりましたが、書きませんでした。ところが、「子供にこそ見せたいオペラがある」というコレギウム・ムジクムの公演案内があります。子供同伴可の特別公演では、高校生以下に特別割引料金が設定されていて、なんと「未就学児入場可能(無料)」とのことです。
個人の責任 (Aug. 13, 2002)
- コンサートの主催者が出しているコンサート情報を見ていますと、「乳幼児の入場お断り」と書かれていることがあります。なかには、「未就学児の入場お断り」と書かれていることもあります。
- なぜ、このようなことを書くのでしょうか? そのようなことを書いている主催者に聞いたわけではありませんが、多分、演奏中に騒がれては困るということのように思います。
- 演奏中に静かに聴くことに限らず、公衆の場での行為に対する躾けは親の責任で、例え未就学児であっても静かに聴かせられる自信があれば、親はその子を同伴してコンサートに行っても良いのではないでしょうか?
- 逆に、大きな子供やたとえ大人であっても、会場内で迷惑行為をするような人には、その行為を直ちにやめさせ、場合によっては、強制的に退出させても良いと思います。
- これは、主催者だけの問題ではなく、周囲の人間が問題の行為を見たときにすぐやめさせることを習慣にしなければならないと思います。
- 先日、あるコンサート会場で、私の席から3〜4席隔たったところに座っていた2人組が演奏中に禁止されている飲食はじめました。私は紙袋から物を取り出す大きな音で気づきましたが、彼らの隣の人は注意することも無くそのままにさせていました。
- 日本の場合は、コンサートに限らず他の公共施設や大学の入学試験など、入り口でのチェックを厳しくして、入ってしまえば、多少いい加減でも許されるという仕組みのようです。時間がかかってもこの状態をなんとか変えなければならないように思います。
コピープロテクト (Apr. 1 , 2002)
- 昔は、コピープロテクトといえば、コンピュータのソフトウェアに関する言葉として一般に知られていましたが、いまや、音楽CDやDVDなどに関してもコピープロテクトが話題になっていますね。
- CDをMP3に変換して、ネットでやり取りすることがその契機だという人もいますが、それ以前からこの動きがありました。たとえば、1998年11月16日にIomega社が "Record/Play" と呼ぶ技術を開発したと発表しました。
- これを受けて、調査会社IDCのKevin House氏は「著作権に関わる懸念をセキュリティーや暗号化ツールによって取り除くことは、コンテンツの制作者や配布者に好機をもたらすだけでなく、消費者にとってもオンラインコンテンツの選択肢を広げるという意味において利益をもたらすものである」と評価していましたが・・・。
- 2000年の12月11日に、Fahrenheit Entertainment というレコード会社が来年(2001年)からは SunnComm という会社の技術を使ってコピープロテクトされたCDを発売すると発表しました。(その後どうなったのでしょう)
- 私は、このような動きに危険な思想を感じます。個人が自分の楽しみのために他人の著作物をどう扱おうと許されているはずで、複製物で違法な商売をしようという犯罪者を締め出すために罪の無い個人の楽しみを奪えば、その報いは結局レコード会社が受けることになると思います。
- 米国では、個人が自分のために他人の著作物をコピーする権利が法律(Audio Home Recording Act)で保障されているのだから、このようなコピープロテクトは法律違反ではないかと米レコード産業協会(RIAA)に質問状を出した人がいますが、その回答はもらえていないそうです。
クラシック音楽界の消滅 (Feb. 18 , 2002)
- 本日(2002年2月18日)、社団法人日本クラシック音楽事業協会が「クラシック音楽界は消滅するのか」という国際シンポジウムを開催しました。
- このシンポジウムは、部分的には得るところがありましたが、全体としては成功とはいえなかったのではないかなと思いました。
- 特に、フロアから発言した人も、このシンポジウムの主体であるはずの音楽事業者からの発言がほとんど無く、その発言を促す司会者が全く馬鹿げた質問しかしないというありさまでした。
- このシンポジウムの最後にフランスのエクサンプロバンス国際音楽祭総監督、ステファン・リスナーさんが、「今日はお金の話が多く出たのに驚いた、このようなシンポジウムをフランスで開けば、お金の話は全くでないだろう。芸術分野のプロジェクトに関して、フランス人は、お金そっちのけで計画して経済的に行き詰まる。日本人は内容よりお金を重点にする。この真中当たりが良いのではないか。」といって笑っていました。
- このシンポジウムの内容につきましては、主催者のページで紹介されるかもしれませんが、このサイトでもこれから紹介してみようと思います。(一部につきましてはNHKのBSフォーラムで4月に放映されるそうです。)
入場料は聴衆が決める! (Feb. 7 , 2002)
- クラシック音楽を普及させるため活動の一環として、社団法人日本クラシック音楽事業協会が毎年開催していますコンサート「クラシックはいかが?」が今年も2月18日に開催されます。
- このコンサートにつきましては、これまでにも紹介しましたが、クラシックコンサートによく行く人とそうではない人とで入場料金を変えていて、どちらのチケットを買うかは聴衆自身が決めます。(昨年は例外)主催者に聞きますと「皆さん金額の安いほうのチケットを購入されますよ。」とのことですが・・・。
- 吹奏楽の世界ではもっとすごい入場料の決定方法を取っているコンサートがあります。ずばり、お代は観て(聴いて)のお帰りということで、コンサートを聴いたあとに聴衆が自分が決めた料金を支払うというものです。
- しかも、このコンサートの主役は、フランスの名トランペッター、アンドレ・ヘンリーで、共演者として、レニングラード(現、サンクトペテルスブルグ)交響楽団で首席奏者を務めたこともあるアレクセイ・トカレフはじめ錚々たるメンバーが出演します。
- さて、このお値段は、如何なりますやら。