音楽メモランダム (2001年掲載分)
目 次
芸術文化振興基本法 (Dec. 1, 2001)
- 昨日(11月30日)、芸術文化振興基本法が成立しました。私自身は、もっと審議に時間がかけられるのかと思っていましたが、案外簡単に通ってしまったと言う印象です。
- なにしろ、国が芸術とは何かを決めるということは、規制緩和に反するだとか、政府が芸術文化に口出しすれば芸術文化活動の活力をそぐとか、色々な意見がささやかれていたように思うのですが・・・
- オランダが、アーティストに一定の収入を保証すると言う制度を作って、結局アーティストたちをだめにしてしまった失敗例もあり、よく議論して決めないと、芸術文化の振興では無く退廃を招く可能性だってあります。
- 今後、この基本法に則った施策が実施されることになると思いますが、よく監視しないと、かえってまずいことになりかねないと思います。
関連リンク:
芸術文化振興基本法案
ニューヨークの悲しみ (Sep. 24, 2001)
- ニューヨークを襲った大規模テロから半月が過ぎました。多くの犠牲者の方々がまだ行方不明のなか、クラシック音楽の世界とニューヨークを結びつけた偉大な音楽家アイザック・スターン氏が逝去されました。
- アイザック・スターン氏は、演奏家としてだけではなく、社会運動家としても活躍され、また、パールマンをはじめ、大勢の後進を育てられました。
- アイザック・スターン氏の冥福を祈るために良い曲は何か、私にはわかりませんが、大規模テロの悲しみの中で、大勢の米国民が歌う「アメージング・グレース」がまだテレビから時々聞こえます。
- この曲は、悪徳非道な奴隷商人であったジョン・ニュートン(1725-1807)が、信仰に目覚めて作詞したもので、「こんな私さえも神は救われた」と言う有名な賛美歌(讃美歌第2編167番)です。
- アメージング・グレースのMIDIデータは沢山ありますが、私のオリジナルを掲載しました。
コンセルトヘボウの入場料 (June 24, 2001)
- 6月21日(木)にオランダのアムステルダムで開催されましたロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラの公演を聴きました。
- このオーケストラの本拠地、コンセルトヘボウの入場料は、内容によって異なりますが、私の聴いたコンサートは、指揮が小澤征爾、独奏者がユリ・バシュメット(ヴィオラ)とミスティラフ・ロストロポヴィッチ(チェロ)という豪華キャストであったため最高額だったはずですが、それでも85ギルダー(約4000円)でした。
- その次の日のコンサートは、独奏者がマキシム・フェンゲロフ(ヴァイオリン)、ミスティラフ・ロストロポヴィッチ(チェロ)、ジアンルシア・カシオリ(ピアノ)で、60ギルダーでした。コンセルトヘボウの場合はどの席でも同じ入場料です。
- また、毎週水曜日の12時30分から Lunchconcerten という無料のコンサートが開かれています。私も6月20日(水)に聴きにいきましたが、会場の小ホールが満員の盛況でした。また、2002年6月26日までの全出演者の予定が掲載された印刷物も手渡されました。
- コンセルトヘボウに限らず、ヨーロッパのコンサート料金は低額なので、ヨーロッパに出かける機会があれば是非聴いてみるべきだと思います。有名ホールは、ほとんどインターネットで予約できます。
ハンス・ツィマーとタン・ドンの音楽 (Apr. 7, 2001)
- 第73回アカデミー賞は、23部門にオスカーが贈られましたが、作品賞は、言うまでもなく GLADIATOR でした。 WMC のメーリングリストで、GLADIATOR は、映画もすごいが、ハンス・ツィマーの音楽もすごいとの評判でした。ところが、音楽(SCORE)部門でオスカーを取ったのは、ハンス・ツィマーではありせんでした。
- 音楽(SCORE)部門のオスカーは、外国語映画部門で作品賞をとった CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON(原題:臥虎藏龍、邦題:グリーン・デスティニー)のタン・ドンでした。
- もちろん、ハンス・ツィマーがオスカーに縁がないわけではありません。最初の受賞は、1988年の Rain Man で、以降、1994年の The Lion King などこれまでに6度もオスカーを獲得しています。
- 今回は別のページでハンス・ツィマーとタン・ドンの音楽のほんの一部を紹介します。
託児サービス付きコンサート (Mar.24, 2001)
- 託児サービス付きのコンサートも増えてきたようで、通常は、1000円から2000円程度のサービス料が設定されていますが、変わったところでは、最近、託児サービスを始められましたカノラホールのように託児料は無料で、500円の保険料だけを設定されている例があります。
- 子供を預けられる方にとって、託児料は無料でなくとも良いかも知れませんが、託児サービスの質は気になるところではないでしょうか?その点、このような保険があれば少しは気休めになるように思いますがいかがでしょうか?
- 1999年7月に掲載しました託児付きコンサートのページは当面更新する計画を持っておりませんが、託児サービスがあるコンサート案内を掲載する場合は、出来るだけその内容が書かれたページにリンクを張るようにします。
妊娠中の女性向けコンサート (Mar. 7, 2001)
- 1999年7月に託児付きコンサートに関する情報を掲載しましたところ、かなりの反響があり、胎教に関する話題を知らせてくれる人もおられましたので、1999年9月に乳幼児同伴大歓迎のコンサートも含めた情報を掲載しました。
- ところがその後、全く反響がなくなりましたので、更新をしておりませんでした。
- 最近このサイトをご覧になった方の中には、そのようなことに関心をお持ちの方もおられるかも知れませんので、改めて、SMF(ソニー・ミュージック・ファウンデーション)が主催されていますコンサートを紹介します。
- それは、〜ママのおなかは特等席〜0才まえのコンサートで、3月24日(土)東京・紀尾井ホールをはじめ、5月には、札幌、大阪、横浜、名古屋で開催されます。詳しくは、SMFのページをご覧ください。ウェブでチケットの購入も出来ます。
- ところで、この文のタイトルは女性向けと書きましたが、実際は、ペア券4000円、1人券2500円となっていますので、カップル向け、いや、カップル+胎児向けが正しいのかもしれません。
クラシックはいかが? (Jan. 22, 2001)
- 社団法人日本クラシック音楽マネイジメント協会が1997年から始めましたクラシック音楽の入門コンサート「クラシックはいかが?」は、今年で5回目になります。
- Wellpine Music Club の目的のひとつは、クラシック音楽の底辺を広げようということなので、このサイトでも1998年、1999年と紹介してきました。
- これまでは、クラシックコンサートによく行く人3000円 、はじめて行く人1000円という入場料でしたが、今年は、2001年にちなんで、全席2001円になりました。
- 公演日は、2001年3月22日(木) 19:00開演、場所はいつもの渋谷Bunkamura オーチャードホールで、今回のテーマは、映画で使われたクラシック音楽です。
- チケットは、まだ、入手可能のようですから、クラシック音楽は苦手という方を誘っていかれてはいかがでしょうか?
MIDIフォーマットの相互乗り入れ (Jan. 19, 2001)
- 2001年1月16日に、ヤマハとローランドがMIDIフォーマットの相互乗り入れについて発表しました。これにより電子音楽の世界がより広まることが期待されています。
- MIDI規格は、1991年に国際標準規格として制定され、GM (General MIDI) 規格として、普及しましたが、多様な音楽ジャンルへの対応や、より表現力の豊かな音楽データの作成のニーズに応えるために、ヤマハとローランドがそれぞれ独立に、XG および GS と名づけたフォーマットを開発しました。これらは、GM を拡張したものではありますが、互いに互換性はありません。
- これでは利便性に欠けると言うことで、1998年に GM もアップグレードされ GMレベル2 というフォーマットになりましたが、XG、GS との互換性がなく、結果として現在 3種類のフォーマットが存在することになりました。
- 今回の発表は、これらを統合した新規格を作るのではなく、ヤマハとローランドがお互いにソフトウェアのフォーマットを公開しあい、両社が、XG、GS、GM2 のフォーマットを全てサポートするということです。要するに、各社が現在普及しているフォーマットのスーパセットをサポートするということの様です。
- WMC では、GX 用のデータを掲載していますので、現在は、ヤマハ以外のハード、ソフトでは、本来意図しました音はでませんが、将来は、そんな心配をしなくともすむようになりそうです。
- 参考:ヤマハから XG データ作成者宛てのメール