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過活動膀胱治療薬のシェア:日本の商習慣Vs海外大規模比較試験


一昨日は患者さんがいっぱいいらっしゃってくださいましたが、昨日はがらがら。

暇だったので、過活動膀胱治療薬4種類(ベシケア、デトルシトール、ステーブラ、ウリトス)に関して、私が好んで処方する薬が、国内でのシェアと異なっている理由の集計を行いました。

先週木曜日にザ・マジックアワーを見る前の空き時間で作成しておいた、症例リストを元にカルテを開いてみたわけです。

ちなみに、ザ・マジックアワーは面白い映画でしたが、さとちんさんの評価も2重丸のようです。

ベシケア(アステラス製薬)、デトルシトール(ファイザー)は2006年6月に発売。

ステーブラ(小野薬品工業)、ウリトス(杏林製薬)は2007年6月に発売です。

2006年6~7月、2007年6~7月、2008年4~5月に私が発行した処方箋枚数は、それぞれ、

期間
2006年6~7月
2007年6~7月
2008年4~5月
ベシケア
18
36
49
デトルシトール
17
32
57
ステーブラ&ウリトス
未発売
22


でした。

ステーブラとウリトスは商品名と会社が違うだけで同じ薬ですので、一緒に集計しました。

国産のベシケアと海外生まれのデトルシトール、ベシケアのほうが国内でのシェアはトップです。

でもベシケアとデトルシトールのシェアの差は縮まってきているようです。

私のクリニックには過活動膀胱の患者さんが多く来院されているので、ベシケアとデトルシトールが発売されると同時に両方を同じように使ってみました。

両者に大きな差はないようで、2年経っても同じような処方量です。ただ、効果も副作用も弱いといわれているデトルシトールの方が前立腺肥大症に合併した過活動膀胱には使いやすい気がしています。

これが、当院で、デトルシトールがベシケアを追い越した理由かもしれません。

国内メーカーと外国企業の宣伝戦略は違うようです。

国内メーカーはMRさんが頻回にクリニックを訪問します。

外国企業は大規模スタディーをやり、それをお抱え研究者に学会で発表してもらいます。

私はMRさんとはあまり雑談はせず、学会研究会でしっかり勉強します。

デトルシトールの方が使いやすい、というのは、私が学会で洗脳されただけかもしれません。

私が経験した症例から、本当に、デトルシトールの方が前立腺肥大症に合併した過活動膀胱には使いやすい、と言えるのか、また暇な日に集計してみます。

ステーブラ&ウリトスも昨年、発売時に結構処方しましたが、残念ながら、ベシケアやデトルシトール以上の効果はありませんでした。

発売後1年間は新薬は2週間分しか処方できません。

当院に通われている過活動膀胱の患者さんは遠方の方が多く、30日処方や60日処方が多いのです。

2週間ごと通うからステーブラ(ウリトス)を処方して欲しい、という方は少なかったため、今年の春の処方量はわずかでした。

来月から長期処方できるようになれば、同じ土俵に上がれるでしょう。

でもバップフォーの独壇場だったところに、ベシケアとデトルシトールが登場したときとは違いました。

バップフォー30日処方を受けていた人のうち、かなりの人が14日処方しかできないベシケアとデトルシトールへの変更を希望されました。

過活動膀胱患者810万人掘り起こし作戦、でお尻をたたかれている、ベシケア、デトルシトール、ステーブラ、ウリトスの担当者の方々、7月からまた大変ですね。

木村泌尿器皮膚科に宣伝活動に来るときは、持参した資料の内容をよく理解してきてくださいね。

「〇〇教授がこの薬はいい薬だとおっしゃっています。」というところにだけマーカーをつけて持ってきてはだめです。

その教授たちはだいたい私より年下です。譜代大名が柳沢吉保に抱く感情のようなものでしょうか、「おぬしも偉ろうなったのう。」と感じるだけで、「柳沢吉保の言う事なんか信用できるか」、になってしまうかもしれません。

このパンフレットに新知見はあるのか、よく理解してから来てください。
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