木村泌尿器皮膚科

〒224-0032 横浜市都筑区茅ヶ崎中央51-1 TEL 045-949-3066

超音波医学会専門医。腎尿管結石・排尿障害の診断が得意です。 ここは、院長日記の倉庫です。


皮膚病学黴毒学教室


[木村泌尿器皮膚科公式ブログ]


アメリカはもちろんドイツにもない皮膚泌尿器科、日本にだけある理由は、
「土肥慶蔵先生が、明治26年(1893)文部省留学生として渡欧。独ハイデルベルグ大学・ウィーン大学で皮膚科学を修め、ドイツのブレスラウ大学・パリ大学で泌尿器科学を学んで、帰国したため 」
私のホームページに説明してありますが、
もっと平たく言うと、梅毒(今のAIDSぐらい怖い病気だった)の勉強に行っていた医者が帰国しようとしていたところ、文部省から連絡が入り、
「膀胱鏡というものが発明されたそうだから、それも習って来い」と言われたためです。
膀胱鏡ができる皮膚科医が皮膚泌尿器科医だったわけです。
ただ、土肥慶蔵教授が東大に開いたのは皮膚泌尿器科学教室ではなく、皮膚病学黴毒学教室という名前でした。
膀胱鏡という技術より、梅毒の治療のほうが教室の大きな課題だったのでしょう。
ペニシリンがない時代、皮膚科医が梅毒の患者にどんな治療をしていたのか知りませんが、
淋菌性尿道炎に対しては、硝酸銀水溶液による尿道洗浄が行われていました。
私も医者になったばかりの頃、バイト先の老先生がやっているのを見たことがあります。
代わりにやったこともありましたが、ガラスの浣腸器の先を外尿道口に密着させるのが難しく、
患者さんも痛みで力を入れるため、硝酸銀水溶液が周辺に飛び散ります。
老先生は見事な手際でした。
何度かやるうちに少しずつコツがつかめてきます。
ガラスの浣腸器の先を外尿道口にぴったり当てるだけで良いのです。
漏れないようにと、浣腸器の先を尿道内に深く挿入しようとしてはいけません。
痛みで尿道括約筋がしまってしまいます。
浣腸器を離すとき、親指と人差し指で挟んで、外尿道口を塞ぎ、下に置いた膿盆に陰茎を向けてから、指の圧迫を解除、硝酸銀水溶液を排液します。
でも、私がマスターする前に、私の外来担当曜日にはその方たちはおいでにならなくなりました。
医者が学習する前に、患者さんが学習してしまわれたようです。
どのような患者さんがこの処置の適応だったのか、どれくらいの頻度で、何度通われていたかも思い出せません。

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