前立腺癌放射線療法勉強会@崎陽軒本店
昨日は診療終了後、第26回
神奈川県前立腺腫瘍研究会に出席。
小線源療法における、D90とV100なる数値の意味を仕入れたのが最大の成果でした。
小線源療法は前立腺にホッチキスの爪ぐらいのシード(種)を90個ぐらい植え込む治療法。
どこに植え込めば前立腺全体に満遍なく放射線を当てられるか、予めCT画像を基にコンピューターで計画を立てます。
これがプレプラニング。
これに基づき、手術室で前立腺を串刺しにしてホッチキスを植え込んでいくわけですが、
いろんな事情により、プレプラニング通りにはシードは植え込めません。
治療後CTを取り直し、実際に植え込まれたシードの場所から、前立腺全体に満遍なく放射線を当てられるか、今後を予想するのがポストプラニング。
そしてポストプラニングでの採点に用いられるのが、D90とV100なる数値です。
D90は前立腺の90%に照射できるであろう線量(Dose)の予測値。
V100は処方線量の100%以上が照射された前立腺体積(Volume)の割合。
まあ、前立腺にまっすぐ針を刺すのは、
片手でオニオンスライスを作るように難しい、という例えからすれば、
D90とV100はどれだけ美しくて薄い、オニオンスライスが作れたかの、「料理の鉄人」の採点項目みたいなものです。
小線源療法の後、すぐにはPSAは下降しません。むしろ前立腺細胞が放射線で破壊されるときに一過性に上昇します。
そのとき、再燃か?、と狼狽せず、ホルモン療法を追加しないで、自信を持って様子を見ることができるかどうかは、
ポストプラニングでのD90とV100の値が高いかどうかなのです。
D90とV100が下がる要因。
恥骨の影になる前立腺尖部前面を穿刺できない。
対策:足を高く持ち上げる砕石位にする。
針を抜くとき、シードがくっついて下方に移動する。
対策:抜く前に針をよじって、針とシードを離して置く。
精液中に留置したシードが射精されてしまう。
対策:?
血管内に留置したシードが血液に乗って肺に流れてしまう。
対策:?
そして、
玉ねぎが包丁から逃げるエフェクト。
対策:?。 大リーグボール1号のように、相手の動きを予め予想して目標より内側を刺す。
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