第8回日本臨床泌尿器科医会@横浜ベイシェラトン
2011年10月7日、米政府の予防医学作業部会U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF)は、前立腺がんの検診で使われているPSA検査について、勧告案をまとめました。
すべての年齢の男性に対して「PSA検査は勧められない」とする内容だと
マスコミで紹介されていたので、そうなんだろうと思っていました。
先週水曜、この辺のデータに詳しい先生が横浜ベイシェラトンまでいらしてくださいました。
勧告案の内容は、
受けることを勧めない、ではなく、
受けないことを勧める、だったんですね。
えらい違いです。
勧めない、というなら、そういう意見もあるでしょう、と聞き流せますが、
受けるな、と吹聴するなら、ちょっと、何を根拠に?、ということになります。
なので、しっかり聞いてきました。
アメリカ泌尿器科学会も猛反発したらしく、
あくまで「案」であった、とのことで、ホームページからは削除されたそうです。
講演で紹介された統計の資料は、すべて私は目を通し終わっていることがわかり、
少なくともPSA検診に関しては、セカンドオピニオンを受ける資格があることに自信が持てました。
生存率改善を初めて示したヨーロッパでの
17万人の中でも、
対象群の質が良いスウェーデンの
2万人データが、我々泌尿器科医がよりどころにするものですが、
「PSA検査は勧められない」とする疫学者たちは、
このスウェーデンの2万人のデータだけが成績を引き上げており、
この2万人を除けば、他のヨーロッパーの国々では、有意差が出ていない、
という議論を展開するようです。
統計をどう使うか、
限りある医療予算を、高齢男性より、若年女性に、
みたいな政策が先にあって、
それに沿った、データを探しているのか、
まあ、学者は、というか、学問はそういう面もあるわけです。
途中で激しい地震で中断もあり、懇親会が始まったのは10時でしたが、
すごく有意義な勉強会で、満足でした。
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