第29回YUC@新横浜グレイスホテル
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昨日のテーマは
去勢抵抗性前立腺癌でした。
ホルモン抵抗性と呼ばず、去勢抵抗性と呼ぶようになったのは、ホルモン抵抗性前立腺癌に使える新薬の治験方法を統一するためだそうです。
1年半前のアボルブ講演会で、ホルモン抵抗性前立腺癌に使える抗がん剤の話を聞きましたが、
最近開発中の薬は、前立腺細胞内で作られるごく少量の男性ホルモンを抑える薬なんだそうです。
男性ホルモンを電気に例えるなら、発電している東京電力に当たるのが睾丸。
睾丸を働かなくするのが、去勢術もしくは月1回のリュープリン注射。
東京電力をストップしても中部電力(副腎)から2割の電力が来るので、各家庭の配電盤のスイッチを切って回るのが、毎日飲むカソデックスやオダイン(アンチアンドロゲン剤)。
送電線からの電力を完全にストップしても、実は家庭で電気を使うことは可能なんです。
自家発電機のある家庭があるんですね。送電線からもらっていた電力の数分の1ですが。
前立腺細胞も実は男性ホルモンを作る能力があるんです。睾丸が作った男性ホルモンが血液で運ばれてくる量よりはるかに少ないですが。
で今開発中の薬は、各家庭にある自家発電機を止める役目の薬、と言った感じでしょうか。
まあ、とにかく、新薬も男性ホルモンの生成を抑える薬ですから、ホルモン剤ということになり、
ホルモン抵抗性前立腺癌に使える新薬、というと定義に矛盾してしまうわけです。
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