ライブ走査体験講座
私は
5日間学会に参加できる1,320ドルを支払ったわけですが、その参加費にはLive(生体?ライブショー?) Scanning(走査) Workshop(体験型の講座)に一つ参加する権利がありました。
二つ目からは110ドル支払わなければなりません。
ならば折角だからと、9月1日11時からの肝臓のLive Scanning Workshopに参加を申し込みました。 肝臓は8つの葉に分かれていますが、
ここを見るにはこうスキャナー(探触子)を当てるという実演をモデルさんをスキャンしながら教えてもらいました。
泌尿器のLive Scanningはプログラムにないし、婦人科や心臓は役立ちそうにないので肝臓を申し込んだのですが、
なんと、この日の9時には睾丸のスキャンをやっていたことに入り口の掲示をみて気づきました。
睾丸が泌尿器ではなく、体表臓器(甲状腺・乳腺)に分類されていたので、ネットで事前に見たプログラムでは気づかなかったのです。
残念なことをしました。
モニター画像なら、静止画も動画も学会でよく見ますが、陰のうにスキャナーを当てている動画などはありません。
学会場の機器展示会場で、社員のお腹にスキャナーを当ててデモしていることはありますが、
例え医者だけを対象にした会であっても、陰のうや乳腺にスキャナーを当ててデモすることはありえません。
睾丸のLive Scanning Workshopの部屋はGEの機械を使っている部屋だったので、
(ちなみに隣のG02の部屋では東芝の装置を使っていました)
同日の午後、GEのブースに行き、
睾丸のLive Scanning Workshopに使われたスキャナーはどれか?
講師の先生は、両手をどう使っていたか、
につき、質問しました。
睾丸の超音波では機械のパネル操作(輝度・コントラスト調整、静止画保存)・スキャナーの保持・睾丸の固定で手が3本ほしいのです。
講師の先生(Australian School of Medical Imagingの創始者)はむろん、GEのブースにはいらっしゃいませんでしたが、介助(装置の特殊メニュー呼び出しなど)したGEのスタッフの話では、
講師の先生は左手で機械のパネル操作、右手でスキャナーを持っていて、
患者自身が陰茎を上向きに保持していただけで、睾丸の固定はしていなかった、とのことでした。
でも、実際を見てみたかったです。
精菅を1画面に収める(ピンと一直線にする)ためには、睾丸を下に引っ張る必要があるはずです。
講師が使ったのは甲状腺用の小さいスキャナー。指2本で保持できない事はありません。
残った3本の指で、睾丸を下に引っ張っていたのか、見たかったです。
どんな方がモデルを勤めてくださったのかわかりませんが、こんな企画、日本では無理でしょう。
本当にもったいない事をしました。その時間シドニーにいたのに!
TestesがGenitourinary Tractではなく、Small Partsに分類されていたとは!
すみません。保身のための追伸。
ここで終わりにすると、「お前の睾丸エコーは放射線科医より下手なのか」と言われるので。
泌尿器科医は自分でスキャンしながら、その場で診断をつけます。静止画は、まさしくメモリーのために保存します。
放射線科医は、外科医(泌尿器科医を含む)を説得できる画像を撮らなければ、手術に持っていけません。
3次元の構造を2次元の静止画1枚に収めるのは放射線科医の方が得意なのです。
というか、外科医に手術させる写真を撮るのが放射線科医の仕事なのです。
精菅と睾丸と副睾丸を1枚の写真に収めた上で、所見を書き、病名をつける、これは放射線科医が得意です。
でも、放射線科医も自信がないときは、「CTやMRIで確認下さい」なんて書いてきます。
超音波のできる外科医は、自分の診断を信じて手術します。
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