泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。

コンピューター導入で紙カルテがかえって分厚くなる不思議


私が最後に勤務した病院は2005年3月時点では外来のみがオーダリングシステムで、病棟は紙カルテに指示を書いていました。

この入院患者にこの点滴をするという指示は指示簿にボールペンで書いていました。

患者さんの状態が変わったり、上司から「その薬ではだめだ」と言われたりしたら、指示を書き直さなければなりません。

外来診療は患者さんが帰宅したら、処置や薬を変更できませんが、入院患者さんではころころ指示は変わります。

明日の指示は今日の3時までに出さなければなりませんが、今日様態が変われば、明日の指示はまったく実行されないまま変更される事もあります。

紙カルテでは、その度に赤ボールペンでバッテンして、下の余白に書き込めば済みました。

電子カルテ時代は大変です。医師はパソコンにオーダーを入力します。

それを印刷し、指示受けするナースが見たことをサインします。

印刷しなければならないのは、職員ひとりずつにパソコンがひとつではないため。

医師が指示を変えるときは、まず前の指示を中止することをパソコンに入力します。中止伝票が印刷され、それに指示受けナースがサインします。

そして新しい指示を入力すると、新しい指示が印刷され、それにサインします。

昔のほうが医師が楽だった、と言いたいわけではありません。医者がきたなく書きなぐる指示簿を、会計担当の医事課職員が理解できるように清書していたのは指示受けナースです。

指示を出すドクターが直接パソコンに入力したほうが、看護師も事務員の余計な仕事をしなくて済みます。会計も間違いはないし、すぐできます。

でも、指示をひとつ書き直すたびに、A4の紙が2枚ずつ増えるのでは、コンピューターを導入したほうが、紙カルテも分厚くなりそうです。



私がネーベンをやっていた時代は、指示受けするナースをリーダーと呼んでいました。

変な指示だと医者に抗議しなければならないのである程度のベテランのナースの仕事だったのです。

研修医にとってはリーダーが一番怖い人種でしたね。

ドクターフリッカーの「鳥居みゆき」みたいなナースにいじめられた話を読んだとき、自分の研修医時代を思い出すより、娘の心配をしてしまいました。

歳は取りたくないものです。