ケンタウロスとは、上半身人間・下半身馬でとても長身、
力もあるがちょっと暴れん坊な、明らかに人間とは違う神話上の種族のことである。
まぁ、ファンタジーワールドの基本とも言える。
射手座のケイローン氏もこのケンタウロス族なのである。
12星座の1つでありながら、かくも彼の紹介が遅れに遅れて最期になってしまったのには理由がある。
射手座エピソードは、伝説系・不幸系そしてラストは日本人好みな「もののあはれ」で終了する。
ぶっちゃけた話、ギャグに楽しく語りづらいのである。
ケンタウロス族は基本的に野蛮。なまじ力は強いし、サテュロス程ではないにしろ好色家。
しかも同族以外の女性にも目を止める。
しかしそんな中ケイローンだけは聡明で賢明、頭の良いケンタウロスだったのだ。
不良校の中に一人だけ優等生がいるような感じである。
「オイ、ケイローンよぉ!オレ自販でサプリ(110円)買いてーんだけどよぉ、百円玉ねーんだよ、お前貸してくれよ〜」(貸りる=返さない。)
「ケンタロウ君、君の財布には今、合計して137円入っているじゃないか。それなら僕が貸さなくたってサプリは買えるよ」
「なんだとっ!?だってオレの財布には100円玉がねぇじゃねぇか、ホラ!(ジャラジャラ…)」←確かに無い。
「ケンタロウ君、自販と言う物は100円玉と10円玉しか入らないものでは無いよ。頭を使って、手持ちの小銭でサプリを買うんだ!」
「ちくしょう、分らねーぜッ!100円と10円の組み合わせ以外に一体何があるっているんだ!」
「ケンタロウ君、ほら、君の持っている50円玉1つと10円玉6つを入れるんだ!」
――カシャカシャ…。 ピッ! ……ガラガラ、ガコンッ!!
「うおおおお!サプリが買えたぜ!流石だな、ケイローン!」
ご理解いただけただろうか。ケイローンが如何に凡人離れしていたかを。
まぁ、こんな感じで、頭脳明晰なケイローンは一目置かれ、ケンタウロス族の中でもリーダー的存在だった。
彼は太陽と芸術の神アポロンと、月と狩りの神アルテミスから教育を受け、その膨大な知識でギリシアに名を連ねる多くの英雄たちの師匠となった。
英雄の中の英雄;ヘラクレス、名医;アスクレピオス、双子座の片割れ;カストルect
ある日かつての弟子ヘラクレスが野暮用でケンタウロス達の住む山を訪れた。(神々に資料館>「神と人の〜」参照)
ちょっとした寄り道とばかりに、酒を交えて談笑していたら、若いケンタウロスが酔って暴れ出した。
ケンタウロスが暴れ出すと大変な事である。そしてヘラクレスも程好く酔っていた。
怪力英雄ヘラクレスが酔っていると、やはりこれも大変な事だ。
ヘラクレスは加減も考えずに矢を射った。それはつい最近手に入れたヒドラの毒矢なのであった。
そしてそれは思い切り狙いを外し、ケイローンの足に刺さった。
徐々に毒が回り、ケイローンはもがき苦しみながらある山に登った。
賢人は自らの屍を人に晒したがらないものである。しかしここで問題がある。
ケイローンは不死身なのだった!
死ぬことも出来ず、ケイローンがひたすらヒドラの毒に苦しみ続けていると、ある人物が声をかけてきた。
山の山頂に鎖で繋がれた、ティタン族の神;プロメテウス。
事情を聞いて、プロメテウスはケイローンにいたく同情。
自分がケイローンの持つ「不死」を譲り受けると言った。
実はプロメテウスはここに繋がれて毎日毎日鷲に肝臓を啄ばまれると言う処罰の受け途中なのである。肝臓は1日立てば元に戻ってしまい、この苦しみは永遠に終わらない。
つまり実質上プロメテウスは既に不死だ。不死が1つだろうと2つだろうと変わらない。
プロメテウスに不死を解いてもらったケイローンはようやく息絶え、彼を惜しんだ大神ゼウスによって夜空の射手座に変えられた。
ちなみに、プロメテウスに無限の苦しみ刑を与えたのはゼウス。
ケイローンを夜空に上げる傍ら、プロメテウスの苦しみなぞは知ったことでは無いそうである。
射手座は西の蠍座に矢を向けて輝いているそうだ。
オリオンを殺す事になるにっくき蠍。星になってもケイローンは相変わらず面倒見が良い。
The
End
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