昔々ある所にアルゴスという国があり、そこにダエナというお姫様がおりました。
結構な美人さんだったらしく、その美しさを聞きつけてオリュンポス最高神のゼウスまでもがにじり寄ってきました。
アルゴス王も綺麗な娘が自慢の種でしたが、世の中愛が憎しみに変わったり、憂いが恐怖に変わったりするのは簡単な事なのです…。
ある預言者が王に言いました
「王よ、貴方は自分の娘が一番最初に生む男の子に殺されるでしょう!」
これを聞いたアルゴス王はダエナを鉄の塔に閉じ込め、一切の男が塔に近づく事を禁じました
。……で、うまくいかないのが世の摂理。
美人のダエナに目ぇ付けていたゼウスはしめしめとばかりに雲に変身し、塔へ侵入。
黄金の雨となってダエナに降り注ぎ、ダエナは男の子を産みました。
この子がペルセウスです。
「何てこったい!ちゃんと閉じ込めておいたのに」
アルゴス王は娘と孫を箱に詰め、海に流しました。
ドンブラコッコと流れ着いたセリポス島。
そこの漁師に助けられ、ダエナはセリポス島の王に美しさを気に入られ、島に住まわせてもらう事になりました。
ペルセウスはスクスクと大きくなりましたが、セリポス島の王はダエナにいつもくっついているペルセウスが邪魔でした。
そんなある日、セリポス島の王は宴の席でペルセウスに、怪物メデューサの首を取ってくることを約束させてしまいました。
負けん気の強いペルセウスもペルセウスで
「いいサ。持ってくるサ。僕に倒せない怪物なんか無いサ」
と言ってしまったのです。
そんな様子を見ていた2人の神が、ペルセウスに助言と知恵を授けました。
「私は勇気ある者の味方です!この盾を持ってお行きなさい」
と、知恵の女神アテナ。
「HAHAHA!ニーサン、無茶苦茶する若いヤツってのは大好きでっせー!この剣、持って行きなはれ!」
ゼウスのメッセージャーとして活躍する商業の神ヘルメス。
2人の神はメデューサと闘うにはこの他にも「ズタ袋」と「帽子」が必要だと助言した。
それはあるニンフが持っていると言う。
ペルセウスは3人で一つの目と歯を共有するババァ様の所へ行き、
半ば脅迫に近い形でニンフの居場所を聞き出す(ちなみに、ニンフとは女性の姿をした精霊、と考えていいと思います)。
さて、「ズタ袋」と「帽子」も手に入ったところで、いよいよペルセウスはメデューサの首を頂きに行った訳です。
説明しよう!メデューサとは蛇の髪をしていて、その目を一目見たら皆石になってしまうという怪物です。
3姉妹の末妹と言う事ですが、姉ちゃん2人は不死身なんだそうです。
手に入れた帽子と盾を使ってペルセウスは一瞬のうちにメデューサの首を切り落としました。
首から流れた血は、純白のペガサスとなって空へ消えていきました。これがペガサス座になります。
ペルセウスはズタ袋に首を入れてセリポス島への帰路につきました。
帰りにちょっとアトラスとかいうオッサンが因縁つけて着ましたが、袋の中の首を取り出し、
相手に見せると、相手はたちまち石になってしまいました。成る程なぁ〜、こりゃ使えるわぁ。
さて、この話はちょっとひとまずココで置いといて(ドッコラショっと…)
ペルセウスが道具を探しに忙しく駆けずり回っている時、ある国である女が神の怒りに触れてしまっていました。
女の名はカシオペヤ。彼女は某国の女王で、自分の美しさを大変大変大変自慢していました。
「ヲホホホホホ!このアタクシに叶う美しさを持つ者などこの世にいなーいでゴザーマスコトよ!ヲーホホホホホホ!」
何という傲慢。何という自信。この傲慢さが神の怒りに触れ、カシオペヤは海の神から信託を受けました。
「オバハン…もとい、カシオペヤよ、ワレ、ちょっと調子に乗りすぎたようじゃけんのぉ。
この怒りを鎮めるにはオミャーの娘のアンドロメダを海の怪物の生贄にするしか道は無いけんのぅ」
「ちょっと待ってよ、何でお母さんの買った怒りであたしが!?」
理不尽だがこれが神の報復の仕方。
カシオペヤは娘のアンドロメダ姫を海の怪物の生贄に捧げる事にしました。
海の怪物は海から来ます。…そら、そーやろ?
ンな訳でアンドロメダは海岸に鎖で繋がれ海の怪物が来るのをただただ待っていました。
「ウフフフ♪もうすぐ来ちゃうのかしら♪あたし食べられちゃうかしら?
内臓とかドバっと出るかしら?ウフフフ♪あーあ、短い人生だったナ…」
と、この辺でメデューサを倒し、因縁つけてきたオッサンも倒したペルセルスがるんるん気分で空を通りかかりました。
「おや?あれに見えるは鎖につながれた薄幸の少女?結構可愛い…。ねぇ、キミ〜、そこで何してるの?」
「死んだらタタってやるわ、あの女…♪
アラ?あなたはだぁれ?あたし?あたしはアンドロメダ。
お母さんのせいであたし、これから怪物の生贄になるの。ウフフ♪笑えるわね♪」
ちょっとヤバめの子っぽいけど可愛いし……
「よし!この女の…じゃなかった、この正義の味方・ペルセウスサマがそんな怪物やっつけてあげるよ」
そしてペルセウスは海の怪物にお馴染「メデューサの首」を見せて石に変えて大勝利。
ちなみにこの海の怪物は鯨座になります。
行き場の無いアンドロメダを連れてようやく母・ダエナの待つセリポス島に帰ってきました。
と、帰ってきたとき、何とセリポス島の王はダエナに迫っている所でした。
「君も息子はもう帰ってこないよ〜メデューサに殺されたさ〜。だから諦めてワシと結婚しようよ〜」
「あっ、だめっ、およしになって、王サマ!」
子供のいない所でエエ大人がみっともねぇものです。
「人の母ちゃんにナニさらしとんねん、オッサンー!」
ペルセウスはもうクセになっちゃう「メデューサの首」を使って王を石に変えました。
「もぉ、ダメじゃん、母ちゃん、あいつの半径3メートル以内に入っちゃ〜」
「あー、おかーさん、アブなかったわぁ。あら、ペルちゃん、そちらは?」
「ウフフフ♪アンドロメダです。あたしも『母ちゃん』って呼んで宜しいですか?」
3人は仲良く故郷・アルゴスに帰ることにしました。ゆっくりみかんでも作って暮らすべ?
さて、その道中のある町でオリンピック(スポーツ大会)がやっていました。
「そこのおにーさん!どーです、円盤投げでも参加しませんかぁ?」
「えー、僕ー?」
「いいじゃない、やってらっしゃいよペルちゃん」
「ウフフフ♪円盤投げじゃあ『メデゥーサの首』はつかえないけどネ…」
力いっぱい投げたペルセウスの円盤は、風に乗って観客席の方へ突っ込んでしまいました。
そして一人の老人の脳天を直撃。その老人はまもなく死亡してしまいました。
この老人こそ、たまたまその場に居合わせた、ダエナの父にしてペルセウスの祖父・アルゴス王だったのです。
ペルセウス座は剣を翳し、メデューサの首を持った勇者の姿、
アンドロメダ座は鎖につながれた姫君の姿となって夜空に輝いています。
また、カシオペヤ座は椅子に座る傲慢な女王の姿、しかしいつも逆さまにしか見えませんし、
アンドロメダ座が見えるときにはカシオペヤ座は見えないと言われています。
The End
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