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          ※以下の物語は「神と人の英雄[前編]」のモロに続きモンです。 
         
         ここから読み始めても多分面白くありません。 
         
          その11!ヘスペリテスの園の黄金のリンゴ! 
         
         そもそも黄金のリンゴというのは色々と曰く付きだが(神々の資料館>「パリスの〜」参照)、 
         
         元はといえばゼウスの物なのだ。 
         
         お気に入りの愛人に時々プレゼントしていたのだが、それに嫉妬したヘラ様が 
         
         どっか遠いところにその園を移してしまったとか…。 
         
         しかしヘラクレスは色々な人に聞きまわり時には脅迫して、ついに園の場所を突き止めた。 
         
          
         
         ここから先は実はオリオン神話と同じくらい全く異なる異説があるのだが、 
         
         とりあえず私の好きな方を先に御紹介…。 
         
          
         
         園のある場所は分ったが、そこに生身の人間がいけないらしく困ったヘラクレス。 
         
         そこで、園のリンゴの木を守っている少女たちが天空を支えるアトラスの娘だと聞き、 
         
         ヘラクレスはアトラスにリンゴを取ってきてくれるよう頼みに行く。 
         
         高い高い山を登り登り、アトラスが天空を支えている頂上を目指した。 
         
         アトラスは、大神ゼウスの罰により、1日中重い天空を支えていなければならないのだ。 
         
         まぁ、ヘラクレス的にそんな事はどうでもいい。 
         
         「おっさーん、悪いんだけど僕ヘスペリテスの金のリンゴがいるんだ。あんたなら行けるでしょ?取ってきてくれない?」 
         
         「ほー、リンゴねぇ。取ってきてやってもいいが、わしゃこの重い重い天空を支えてなきゃいけないんでこっから動けんのよー」 
         
         「じゃあ、僕が一日代わってあげるから取ってきてよ」 
         
         アトラスはヘラクレスに支え係を変わって貰い、言われたとおりリンゴを取ってきた。 
         
         しかし、またあの重い天空を支えるのは真っ平御免。 
         
         できればこのままずっとヘラクレスに代わってて貰いたい。 
         
         そう思ったアトラスはヘラクレスを言葉巧みに仕事を押し付けようとするが、 
         
         ヘラクレスもそれに気付いて言い返す。 
         
         「しかたないなー。そこまで言うなら代わってあげるよ。 
         
         でもちょっと今トイレに行きたいんだよね。すぐ行ってくるからその間だけもう一度代わってくれない?」 
         
         ヘラクレスがそう言うと意気揚揚とアトラスは再び天空を支えた。 
         
         そしてヘラクレスはそのままリンゴを持って去っていったとさ…。 
         
         その帰り道、山肌で鎖に繋がれ鷹に肝臓を突付かれていた神プロメテウスを解放してやったそうだ。あくまでついでだろうが。 
         
         なんつーか、アトラス、アホだが可哀相。 
         
         彼はペルセウスに殺され(星たちの森>「勇者の〜」参照)、ようやく自由に慣れたという… 
         
          
         
         もう一説の方は、ヘラクレスは自分でヘスペリテスの園へ行きリンゴを取ってきた。 
         
         しかしヘラが使わした怪獣ラドンに道を塞がれたヘラクレスは、蜂蜜をラドンの口に放り込み、 
         
         続いて蜜蜂を放ち、ラドンの胃袋の中で蜜蜂達が大暴れをして倒した、という説がある。怪物退治はもういい…。 
         
         「いやー、今回は長かったなぁ」 
         
         「んにょにょにょにょ!いい加減にミーもネタ切れだにょ!こうなったらかなり絶対に無理そうなのを押し付けてやるにょ!」
          
         
          その12!ケルベロスの捕獲! 
         
         徐々にレベルアップしていくエウリュテウスの難題もクライマックス。 
         
         今度は冥界の門の番犬・3つ頭の怪物ケルベロスを連れてこいとほざきおった。 
         
         冥界は普通なら生身の人間が足を踏み入れる事はできないのだが、 
         
         まぁ前例が無い訳でもないし(星たちの森>「琴座の〜」参照)、 
         
         女神アテナに手伝ってもらってヘラクレスは冥界にやってきてしまった。 
         
         冥界の王ハデスはそんなヘラクレスをケッケラ笑い飛ばす。 
         
         「ワハハハハ!うちのケルベロスを連れて行くとな?こりゃ愉快愉快!できるもんかい! 
         
         でも、武器を使わずに倒せたら、連れてってもいいよ?ワハハハハ!愉快愉快!」 
         
         大ウケしてるけど、本当にヘラクレスが武器無しでケルベロスを気絶させて 
         
         連れて行ってしまった時にはさすがにハデスも絶句した。 
         
         そして本当に連れて来られてしまったエウリュテウスも顔面蒼白になった。 
         
         もういいからとっとと冥界に返して来いと喚きたてる。 
         
         仕方が無いのでヘラクレスはケルベロスをハデスに返しに行き、 
         
         その帰りに冥界に捕われていた勇者テセウスを助けてやった。 
         
         (注;以上の12功業の順番は当然ながら説は様々) 
         
         「(カチカチカチ…ちーん♪)にょ?ミーは今まで一体何をしていたにょ?」 
         
         ヘラの操り電波の効果が切れたエウリュテウスが我に返った。 
         
         「もう用は無いの?じゃ僕帰って良い?だいぶ遅くなっちゃったし…」 
         
         「にょ?…んがああああ!?もうあれから10年も経ってるにょーーー!?」 
         
         「そだよ。引越し先の家、不動産屋が別の人に回しちゃったみたい」 
         
         「にゃーーんてことだぁああああああ!」 
         
         「じゃあね〜!」 
         
         この10年で傷心もすっかり癒されたヘラクレスは、 
         
         やがて河神の娘ディアネイラと結婚し、息子も生まれ幸せを取り戻した。
          
         
         あるとき仲良く家族旅行に出かけたヘラクレス一家は、大きな河に通せんぼをくらった。 
         
         ヘラクレスは、息子を肩車して先に浅瀬を渡り、向こう岸から橋をかけて妻を渡してやろうと考え、浅瀬を歩き始めた。 
         
         ひとり対岸で待つことになった妻・ディアネイラ。 
         
         その背後に忍び寄る黒い影…!難題その3で仲間をやられたケンタウロスのネッソスが 
         
         ディアネイラをかっさらって行こうとしたのだ! 
         
         ディアネイラの悲鳴を聞いたヘラクレスは、向こう岸からヒドラの毒矢を放ってネッソスを殺した。 
         
         死ぬ直前、ネッソスは自分の血がヒドラの毒矢で徐々に毒されているのに気付き、執念でディアネイラにこういった。 
         
         「ごめんよ、奥さん。あんたがあんまり綺麗なモンでついつい変な気を起こしちまった。 
         
         その罰が当たったんだな…。綺麗なあんたにせめてものお詫びだ。 
         
         俺の血を大事に取っときな。俺の血を服に染み込ませて旦那に着せれば、旦那は決して浮気しない男になるぜ…ぐふ!」 
         
         執念なだけあって結構説明的な長い台詞が吐けたようだ。 
         
         ディアネイラも、こう綺麗綺麗と連発されては悪い気はしない。 
         
         言われたとおりネッソスの血をこっそり取っておいたのだった。 
         
          
         
         さて、それから数年後。それなりに幸せなヘラクレス一家だったが、浮気は男の甲斐性(って日本人はよく言うけど、いやー、打ち首モンだろう)。 
         
         ヘラクレスはイオレと言う女性にフラフラっと恋してしまった。 
         
         悔しいわ悔しいわっ!なディアネイラは、ネッソスの血の事を思い出した。 
         
         物は試し。ネッソスの血をヘラクレスの服にこっそり染み込ませた。 
         
         これで夫は自分の元に帰ってきてくれる、と信じて…。 
         
         しかし、ンなわきゃねーだろ。ネッソスの血は毒っけプンプン。ヘラクレスはもがき苦しんだ。 
         
         自分はもはやこれまで。 
         
         そう悟ったヘラクレスはオイタ山の頂上に薪を積み、火を放つと自ら火の中に飛び込んだのだった。 
         
         ディアネイラは自分の犯した過ちを嘆いて自殺したが、兼ねてより一部始終を見ていたゼウスは 
         
         ヘラクレスの人生そのものにいたく感動。 
         
         何より浮気する辺り実に親近感が持てて大変よろしい。 
         
         ヘラクレスを神の一人に迎えたのだった。 
         
         神となったヘラクレスは、ヘラの娘ヘベ(星たちの森>「水瓶座〜」参照)と再々婚。 
         
         自分の娘と結婚したのならばヘラもそうそう文句を言えない。 
         
         しかしヘラの執念はネッソスの500倍。狙った獲物は絶対外さない。 
         
         ゼウスによって星になったヘラクレスを、ヘラは逆さまにしてしまったのだ。 
         
         まぁ、今まで命狙っていたのに比べれば、ヘラ様的に可愛いイジワルではないか。 
         
          
         
         こうしてヘラクレスは人間の英雄、そして神にも讃えられた最高の英雄となって 
         
         星空に輝くヘラクレス座になった。ただし逆さまに。 
         
           
         
         神と人の英雄 [後編]
         
         The End
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