ピグマリオンの石の妻

キュプロスの王ピグマリオンはそろそろいい年でした。
とっとと嫁さん貰ってくれないかねぇと国中の人が心配していました。
しかしピグマリオンは人間不信気味。
彫刻を彫るのが趣味で、毎日何時間もアトリエに篭りきりの孤独な男でした。
しかし、そんな彼も、ただ一人だけ憧れている女性がいたのです。
アレを「女性」と言っていいのかキワドイところですが、それは美の女神アプロディテ
神です。当然叶わぬ恋です。
ピグマリオンは女神アプロディテをモデルに、白い石で何体も何体も女性像を彫りました。
そしてある時完成した一体は、まさにピグマリオンの理想の女性像。最高傑作となったのです。
ピグマリオンはこの彫刻に恋してしまいました。
胸が詰まってお食事も喉を通りませんとな。…ん?どっかで聞いたフレーズだな。
ところが……
「あっは〜ん♪そこの悩めるアナタぁん♪(ドヴァパフー)」
ある時、いつものように愛しい彫刻を見つめていたピグマリオンの元に、
なんとアプロディテ本人がパックに鼓笛隊を従えて降り立ったのです。
「なッ!?アプロディテ様!ほ・本物…?」
「ホーホホホ☆本物よん♪」
「は、ははぁーーーーーッ(ひれ伏し)」
「キャハン☆よろしくてよ〜ん♪苦しゅうないわ〜ん、表をあげなさい☆」
暇だな、この女も。
「ズバリ、アナタはこのあたしをモデルにしたその彫刻に恋してるわねん☆
まぁ、あたしをモデルにしたんじゃあ、無理も無いケドん?アナタの願い、あたしが叶えてあげるわーん♪」
「え?…ってゆーと?」
「あはん☆その彫刻に優しくチュ♪してあげなさい♪いい事あるかも☆(ポヒポヒー)」
そう言うとアプロディテは鼓笛隊と共に帰っていきました。
ピグマリオンが言われた通り彫刻に口付けをすると、彫刻の頬はみるみる赤みを帯び、人間に代わっていったのです。
「おおっ、これぞ私の理想の女性!女神アプロディテの化身だ!」
「アッハーン・アタシッテバー・チョー・モテモテ〜・キャハハン☆(ウィーン…ガチャ)」
…なんか、エセアプロディテ弐号機って感じもするが…
とにかくピグマリオンはこの元彫刻の女をガラテイアと名づけ、妻に迎えたといいます…。
なんか、願いって叶うもんなんスね…。

END