水仙の花
昔ギリシアのあるところに、それはそれは容姿端麗・超絶美形のステキすぎる一人の少年がいました。
彼の名はナルキッソス。
その容姿端麗・超絶美形のステキすぎる彼に、1人の少女が恋をしました。
しかし容姿端麗・超絶美形のステキすぎるナルキッソスはちっともその少女に振り向いてはくれませんでした。
彼はこれでなかなか理想が高かったのです。
嗚呼!どこかに自分の理想の美しいヒトはいないだろうか!(別に男でも女でもよかったんだろうな)
そんなある日容姿端麗(以下省略)のナルキッソスがトボトボと
湖のほとりを歩いていて、ふと湖の方を見やったらアラ、まぁ、なんとそこには!
この世のものとも思えぬほどスィート・ビューティーな少年がいるではありませんか!
…って、それ湖に写った自分の姿です。
しかしこの日からナルキッソスは湖に写る美しい少年に首っ丈。
胸が切なくてお食事も喉を通りませんとな。
毎日湖面を見つめるナルキッソスを少女は木陰から見守るしかありませんでした。
しかしエスカレートにエスカレートを続けるナルキッソスの恋は、
ついに彼自身を湖に跳び込ませる衝動にまでなりました。
慌てて止めようとした少女が飛び出した時には既に遅し。
吸い込まれる様に湖に身を投げたナルキッソスは二度と浮かんではきませんでした。
少女は湖面に向かって「ナルキッソス!ナルキッソス!」と呼びつづけました。
そしてその湖には後に毎年水仙の花が咲くようになりました。
ところで、少女は実はエコーという名の精霊で、ナルキッソスが自分自身に惚れたのは
彼女の気持ちを踏みにじったナルキッソスへの神々の神罰だった、という説もあります。
ナルキッソスが最後に言った「さよなら」と言う言葉を、エコーは繰り返しながら「山彦」となったと言います。
おわり。(おわり!?)
追記:彼の名は「自己愛」の意の「ナルシスト」の語源になります。
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